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文化庁 令和5年度緊急的文化遺産保護国際貢献事業(専門家交流)

トルコ共和国における歴史的市街地の復興に関する国際貢献事業

>報告書 Report(PDF)

【業務の目的】

2023 年2 月6 日(月)にトルコ南東部を震央とする地震が発生し、当該地域及びその周辺地域に甚大な被害が発生した。トルコ共和国イスタンブルにあるバフチェシヒル大学の要請を受け、バフチェシヒル大学と一般交流協定を締結している武庫川女子大学から、建築構造や建築設計に詳しい教員を3 人、阪神・淡路大震災を経験した神戸市から、建築指導や危機管理を担当する職員2 人の計5 人を、4 月12 日(水)~4 月20 日(木)の日程でトルコに派遣し、建築学の観点から、被災地の復興に向けての現地調査を行った。
この2023 年4 月調査においては、古代セレウコス朝シリアの首都アンティオキアであった歴史都市アンタキヤで、文化遺産である多くのモスクや教会が崩壊しており、歴史ある旧市街の町並みは壊滅状態であることが確認された。今後、アンタキヤの町が復興していくにつれて、経済優先の新しい建物がどんどん建ち並び、アンタキヤ固有の歴史や文化が無視された町並みが形成されていくことが危惧される。そこで本事業においては、アンタキヤがあるハタイ大都市自治体とのつながりがあるバフチェシヒル大学からの要請を再度受けて、建築学の立場からアンタキヤの歴史的市街地の復興に関する緊急的対応を行うことを目的する。

【業務内容】

(1)アンタキヤの町並みの歴史的文化的特長の整理・把握のための文献資料調査

アンタキヤの町並みに関する文献資料を収集・分析し、アンタキヤの町並みの多様に積層した歴史的文化的特長を整理・把握する。

(2)アンタキヤ被災地現地調査

アンタキヤ旧市街の、ハビビ・ネッジャール・ジャーミィ等のモスクを含む歴史的建造物を調査する。さらには歴史的建造物のみならず、旧市街の町並みや都市構造の現況を調査する。現地調査には、バフチェシヒル大学建築デザイン学部長のムラツ・ドゥンダル教授も同行する。

(3)トルコ人専門家日本招聘および公開セミナーの開催

バフチェシヒル大学建築デザイン学部長のムラツ・ドゥンダル教授を日本に招聘して専門家交流として武庫川女子大学において公開セミナーを開催する。アンタキヤの被害状況を日本の専門家たちと共有するとともに、どのようにアンタキヤ旧市街の町並みを復興したら良いか意見交換を行う。

(4)報告書の作成

上記(1)~(3)を踏まえて、どのようにアンタキヤ旧市街の町並みを復興したら良いか、復興案のベースとなる意見書を作成する。